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名古屋地方裁判所 平成5年(わ)155号 判決

本籍

名古屋市中村区大日町二一七番地

住居

同市西区上小田井二丁目一七三番地 コーポハンター二〇一号室

不動産取引業

永井孝則

昭和一〇年一二月二一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官宇川晴彦及び同跡部敏夫出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役二年及び罰金三五〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、名古屋市中村区椿町一丁目三番地第一地産ビル七〇八号室において不動産取引業を営む者であるが、自己の所得税を免れようと企て、売上の一部を除外し、架空の経費を計上するなどの方法により所得を秘匿した上、

第一  平成元年分の実際総所得金額が五九三七万七六八一円あったのにかかわらず、平成二年三月五日、同市西区押切二丁目七番二一号所在の所轄名古屋西税務署において、同税務署長に対し、平成元年分の総所得金額が一〇〇〇万円で、これに対する所得税額が一四六万六七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額三〇一〇万〇二〇〇円と右申告税額との差額二八六三万三五〇〇円を免れ

第二  平成二年分の実際総所得金額が二億四四六七万三五〇五円あったのにかかわらず、平成三年三月六日、前記名古屋西税務署において、同税務署長に対し、平成二年分の総所得金額が二二〇九万一六七〇円で、これに対する所得税額が一〇〇三万〇五〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額一億四〇〇五万五三〇〇円と右申告税額との差額一億三〇〇二万四八〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

以下、括弧内の甲乙の番号は検察官の証拠請求番号を示す。

全部の事実について

一  被告人の公判供述

一  第一回公判調書中の被告人の供述部分

一  被告人の検察官調書三通(乙3、6、14)

一  松原宗雄(甲9)、岩田直志(甲10)及び松原卓也(甲55)の各検察官調書(いずれも謄本)

一  捜査報告書(謄本。甲8)

一  査察官調査書四通(甲69ないし71、74)

第一の事実について

一  被告人の検察官調書二通(乙4、7)

一  岩田直志(二通。甲11、28)、越喜邦(二通。甲12、29)、篠田昭(甲30)、岩瀬貢(甲14)、後藤昭一(甲15)、伊藤茂(甲16)、西川豊子(甲17)、秋田ひさゑ(甲18)、石橋隆男(甲19)、金山こと金秀吉(甲20)、多田憲司(二通。甲21、30)、柴田忠雄(甲22)、辻健作(甲26)、及び山本こと崔一(甲27)、の各検察官調書(但し、甲26、27以外はいずれも謄本)

一  捜査報告書二通(いずれも謄本。甲60、62)

一  査察官調査書(甲73)

一  証明書(甲2)

第二の事実について

一  被告人の検察官調書三通(乙8、9、13)

一  林健吉(甲5)、玉水浩(甲31)、岩田直志(三通。甲32、50、54)、青山喜美子(甲33)、山森昌勝(三通。甲34ないし36)、河合こと河泰文(甲37)、大崎晴由(甲38)、松下忠男(甲39)、澤田卓(甲41)、林亨(甲42)、阿部武臣(二通。甲43、44)、竹内直剛(甲45)、北沢隆夫(甲46)、伊藤文人こと伊藤良雄(甲47)、永井栄子(甲48)、北川清一(甲56)、日比美奈子(甲57)、穂積孝志(甲58)の各検察官調書(但し、甲31以外はいずれも謄本)

一  捜査報告書三通(甲63、64、68。但し、甲64、68は謄本)

一  電話聴取書(謄本。甲40)

一  査察官調査書(甲72)

一  証明書(甲6)

(法令の適用)

罰条 いずれも所得税法二三八条一項

刑の併科 いずれも懲役刑と罰金刑を併科(罰金額につき所得税法二三八条二項を適用)

併合罪の処理

懲役刑につき 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い第二の罪の刑に加重)

罰金刑につき 刑法四五条前段、四八条二項

労役場留置 刑法一八条

刑の執行猶予 刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する(求刑 懲役二年及び罰金四五〇〇万円)。

(裁判官 政岡克俊)

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